失ったものを数えるな、残されたものを最大限に活かせ

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つよぽん です。写真は河合純一さんです。


失ったものを数えるな、残されたものを最大限に活かせ
5月11日(土)にアイミティ浜松での河合純一さんの講演会「見えないからこそ、見えるものがある」に参加しました。河合純一さんは、浜松市舞阪町出身。15歳の時に視力を失いますが、水泳選手としてパラリンピックに出場して金メダルをとりました。また日本で初めての全盲の中学校教諭となりました。




「失ったものを数えるな、残されたものを最大限に活かせ。」は河合さんが講演の中で引用したルードヴィッヒ・グッドマン博士の言葉です。

グッドマン博士の提唱で、1948年、ロンドンで車椅子での競技大会が行われました。これは第二次世界大戦で半身不随になった兵士達の心身両面のリハビリのためです。パラリンピックの始まりですね。

この言葉どおり河合さんは残された聴覚や触覚を研ぎ澄ませたのです。一例として、触ったり落としたときの「音」で硬貨が判別できることを実演してくださいました。わたしは「音」での判別は、できませんでした。

「目が見えないのに、どうやって泳いでいるの?」という疑問にも答えてくださいました。まず横に張ってあるロープを触りながら、まっすぐに泳ぐ練習をするのです。触覚ですね。

そして「何回、水を掻いたらゴールに着くのか。」を覚えておきます。(現在では、ゴールが近づくとコーチが釣竿のような長い棒の先端に柔らかい素材をつけた物で選手の頭に触れ合図を送る方法がとられています。)

このルードヴィッヒ・グッドマン博士の言葉ですが、身体だけでなくて、心にもいえるのでは?とわたしは思いました。過ぎ去った過去を悔やんでいるより、今、なにができるか?を考えて生きていきなさい。そう言っているように感じたのです。

もう、ひとつ印象に残ったのは河合さんの「答にたどりつく方法は、いくつだってある。」という言葉です。

全盲である御自身が時間を知る方法として「音声で時間を知らせる携帯で聴く」「針の位置が触って判る腕時計があるので使用する」「人に聞く」を例に挙げ「腹時計っていうもありますが~」とユーモアを交えて話してくださいました。

「現代はマニュアル時代と言われています。たしかにマニュアルどおりにやれば誰でもできます。しかしマニュアルに縛られてはいけない。」「発想の柔軟さから言えば障がい者のほうが柔軟なのかもしれない。」とも。

わたしもそうなのですが、とかく「思い込み」で自分を縛りがちです。「~は、こうでなければいけない。」と思い込んで自分を苦しめている場合が多々あります。

「たとえば、みなさん、夜中に部屋の明かりが消えたら、どうしますか?そして避難しなければならない状況になったら慌てふためくでしょう。でも元から見えないわたしは普段どおりに行動できます。」この河合さんの例えにはハッとしました。障がいがあっても状況次第では障がいにならない場合だってありうるのです。


河合さんは暴力問題で揺れている日本のスポーツ界を憂いていました。

「スポーツとは自主性を育てるもの。指導者の脅かしや暴力で勝ったり記録が出せたとしても、それは、まやかしです。外部から強制されないと何もできない人間を作り出しているだけです。自主性が育たなかった選手の末路は哀れです。」

「脅かしや暴力で続けるスポーツなら止めたほうがいい。」と、厳しい口調で、きっぱりと言っていました。

他にも、高齢化と障がい者の問題、パラリンピックを誘致する意義にも言及していました。

そして何よりも、河合さんから爽やかな風が吹いてくるような、そんな心地よい感じに包まれた講演でした。


パラリンピックの父。ルードヴィッヒ・グッドマンの言葉。























 
この記事へのコメント
数年前、河合さんの自伝的映画を観る機会がありまして、初めて映画観て泣きましたね。

何でも、実践してみせている方の言葉は説得力があります。

河合さんの今後に期待ですね(^。^)
Posted by ないてゅないてゅ at 2013年05月12日 21:11
ないてゅさん。こんにちは^^ 

河合さんの前向きな考え方と発想の柔軟さは学ぶべきところです。

そういう河合さんですから、講演は、苦労話や努力論ではないのですよね。

実は、この講演の司会をしてくださった女性が知っている方でして、講演後の質問タイムに名指しされたのです^^:

当日が河合さんの娘さんの満一歳のお誕生日だと、お話されていたので、奥さまとの、なれそめを、お聞きしました。

教師だった奥さまの生徒が河合さんの本を読んでメールを送ったのが縁で
お互いに知り合ったのだそうです。

そして遠方にもかかわらず、奥さまも自伝映画の試写会に来てくれて親しくなっていったそうです^^
Posted by つよぽん at 2013年05月15日 00:27
こんばんは。。
あらま、河合さん!

「見えないからこそ、見えるものがある」
このフレーズ、去年の選挙カーで叫びまくりました^^

どなたが司会でしたか?
Y川さんじゃないですよね~

でも河合さんは明るくて性格もいいし、
もちろんアタマもキレキレだし
ユーモアのセンスも抜群ですからね~

これからもよろしくお願いします!
って何となく母親みたいですけどね・・・^^
Posted by rudyrudy at 2013年05月20日 23:31
おお!「見えないからこそ、見えるものがある」って選挙のキャッチ・フレーズだったのですね!

人間の情報の8割くらいは目から入ってくる(もっと高かったかもしれません)と言われてますからね。逆に言えば見える物にに惑わされるってことですよね


講演が終わったあと、河合さんにrudy さんのことを聞いてみようかと思ったのですが・・・次に東京で講演があるとかで急いでいたので、聞くきっかけを失ってしまいました。

司会者は石澤さんという、とっても元気なお姉さまでした^^

彼女が浜松市の施設「キャリア・サポート・センター」(求職者の相談にのってくれるとこ)にお勤めのときに大変、お世話になったのです。

河合さんは、物事を、「できない。」って思いませんよね。「どうしたら、できるか?」これですよ^^
Posted by つよぽん at 2013年05月21日 01:03
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